2009年10月7日水曜日

2009年8月4日安全管理勉強会



熱中症とは
 
熱中症とは、体の中と外の"あつさ"によって引き起こされる、様々な体の不調であり、専門的には、「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」されています。(熱中症という漢字には、読んで字のとおり、「熱に中る」という意味をもっています。) 

熱中症は、熱波により主に高齢者に起こるもの、幼児が高温環境で起こるもの、暑熱環境での労働で起こるもの、スポーツ活動中に起こるものなどがあります。 労働中に起こるものについては、労働環境改善などにより以前に比べ減少してきているとされていましたが、近年の環境条件により増加傾向が伺われます。また、スポーツなどにおいては、一時増加傾向にあり、その後減少に転じましたが、下げ止まりのような状況になっており、依然、死亡事故が無くならない状況にあります。 熱中症というと、暑い環境で起こるもの、という概念があるかと思われますが、スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生しうるものです。実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。また、運動開始から比較的短時間(30分程度から)でも発症する例もみられます。  
 
分類

 熱中症は、いくつかの症状が重なり合い、互いに関連しあって起こる。また、軽い症状から重い症状へと症状が進行することもあるが、きわめて短時間で急速に重症となることもあります。 熱中症は、大変に身近なところでおきていいます。そのため、十分にその危険性を認識しておくことが必要です。 

従来、医学的には治療方針をたてる上で、暑熱障害、熱症として、以下の3つの病態に分類されています。

① 熱痙攣(heat cramps)
② 熱疲労(heat exhaustion)
③ 熱射病(heat stroke)

程度 症状

Ⅰ度 軽症度

四肢や腹筋などに痛みをともなった痙攣(腹痛がみられることもある)

多量の発汗の中、水(塩分などの電解質が入っていない)のみを補給した場合に、起こりやすいとされている。
○全身の痙攣は(この段階では)みられない。 失神(数秒間程度なもの)
○失神の他に、脈拍が速く弱い状態になる、呼吸回数の増加、顔色が悪くなる、唇がしびれる、めまい、などが見られることがある。
○運動をやめた直後に起こることが多いとされている。
○運動中にあった筋肉によるポンプ作用が運動を急に止めると止まってしまうことにより、一時的に脳への血流が減ること、また、長時間、あつい中での活動のため、末梢血管が広がり、相対的に全身への血液量が減少を起こすことによる。

Ⅱ度 中等度

めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って起こる

○血圧の低下、頻脈(脈の速い状態)、皮膚の蒼白、多量の発汗などのショック症状が見られる。
○脱水と塩分などの電解質が失われて、末梢の循環が悪くなり、極度の脱力状態となる。
○放置あるいは誤った判断を行なえば重症化し、Ⅲ度へ移行する危険性がある

Ⅲ度

重傷度 意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが、Ⅱ度の症状に重なり合って起こる

自己温度調節機能の破錠による中枢神経系を含めた全身の多臓器障害。
○重篤で、体内の血液が凝固し、脳、肺、肝臓、腎臓などの全身の臓器の障害を生じる多臓器不全となり、死亡に至る危険性が高い。
 
 現場での手当

[1]観察 傷病者が発生した際、それがまずどのような症状かを観察する。 具体的には、まず、意識の状態を確認して下さい。名前を呼ぶ、肩を軽くたたく、応答ができるならその者が絶対にわかるはずの質問をするなどをしつつ、意識の状態がどの程度なのかを判断してください。あわせて、生の兆候(意識、呼吸、脈拍、顔色、体温、手足の温度など)のチェックを継続して行き、手当に必要なものを用意する。

[2]手当の実際 熱中症の手当の基本

休息(rest) 安静をさせる。そのための安静を保てる環境へと運ぶこととなる。衣服を緩める、また、必要に応じて脱がせ、体を冷却しやすい状態とする。
冷却(ice) 涼しい場所(クーラーの入っているところ、風通しの良い日陰など)で休ませる。症状に応じて、必要な冷却を行う。
水分補給(water) 意識がはっきりしている場合に限り、水分補給をおこなう。意識障害がある、吐き気がある場合には、医療機関での輸液が必要となる。
 
以上の三つがベースとなって手当を行ない、症状やその程度によって、手当の内容が決定される。すべての症状に対して、前述した熱中症の手当の基本を行なうが、追加して望まれる手当を記載する。 

[1] 意識の有無、程度の確認 まず、意識の状態を確認して下さい。名前を呼ぶ、肩を軽くたたく、応答ができるならその者が絶対にわかるはずの質問をするなどをしつつ、意識の状態がどの程度なのかを判断してください。 意識が無い(呼びかけるなどをしても反応がない)、意識が回復しない状態は危険です>また、応答が鈍い、言動がおかしいなどの場合も注意が必要です。 必要な手当を行いつつ、至急、119番通報を行い救急搬送を要請する。

 
[2a] 意識の無いもしくは、反応が悪い(意識レベルが低い)場合以下の項目を行います。 A.気道の確保 B.呼吸の確認 C.脈拍の確認 気道を確保した上で、呼吸の確認をする。呼吸が無かったら人工呼吸を行うことになり、また、続いて脈拍の確認を行い、脈拍が非常に弱い、もしくは止まっている際には、心臓マッサージを行という過程です。あわせて、バイタルサイン(意識、呼吸、脈拍、顔色、体温、手足の温度など)のチェックを継続し行うことが必要。 

[2b]意識のある場合 バイタルサイン(意識、呼吸、脈拍、顔色、体温、手足の温度など)のチェックをし、涼しい場所へ運ぶ。衣服を緩め(必要に応じて脱がせ)、症状に対応していく。


○ふくらはぎや腹部の筋肉の痙攣(全身のものではない) 0.9%の食塩と電解質の入ったものを飲ませる。冷却の方法にある、冷水タオルマッサージを震えているところへ行なう。
○失神(数秒程度内のもの) 横に寝かせ足を心臓より高く挙げるなどして、心臓へ戻る血液の増大を図る。
○顔色が蒼白で、脈が微弱寝かせた状態で足を心臓よりも高くなるように挙げて、可能ならば、静脈路を確保して、輸液を行う必要があるため、医療機関へ搬送する。
○飲水できるスポーツ・ドリンクなどを飲ませる
飲水が困難上記同様に、医療機関へ運ぶことになる。
○足先など末端部が冷たいその部分の保温と、さするようにマッサージをする。
○顔色が赤い場合寝かした状態よりやや上半身を高くなる、座らせた状態とする。
○吐き気、嘔吐 水分補給が行えないので、すみやかに医療機関へと運ぶことが必要。 どのような場合でも、必ず、"医師の診察"を受けること。 

[3] 冷却 「意識が無い、もしくは、反応が悪い」ならば、冷却を開始しつつ救急車を呼び、至急医療施設へと搬送する。その間に移動が可能ならば、冷却を継続しながら、涼しい場所(クーラーの入っているところ、風通しの良い日陰など)運ぶ。 

 現場での冷却
意識が回復し、寒いと訴えるまで冷却 以下に3つほど、冷却法を紹介します。総じての注意点として、震えを起こさせないようにすることがポイントとしてあります。  冷却のポイント

震えを起こさせない  (その為には積極的にマッサージをする)
○ 下の方法で、①と②もしくは、②と③を併用して行う
○ 冷却は、意識が回復し、寒いと訴えるまでは続ける
○ その後に点滴もしくは水を飲ませるなどをする
○ 意識が回復しても再び意識が無くなることも想定されるため、継続注意をして観察する
やり過ぎを恐れず、積極的に行なう  (人間の体温は低温側に対して強く、高温側に弱いから)

① 冷水タオルマッサージと送風 衣類をできるだけ脱がせて、体に水をふきかける、その上から、冷水で冷やしたタオルで全身、特に手足(末端部)と体幹部をマッサージ(皮膚血管の収縮を防止するため)する。風をおこすようにうちわ、タオル、服などで送風する。使用する水は冷たいものよりも、常温の水もしくはぬるいお湯が良い。

氷(氷嚢、アイスパック)などで冷却 氷嚢、アイスパック、アイスノンなどを、腋下動脈(両腕の腋の下にはさむ)、頚動脈(首の横に両方から当てる)、大腿動脈(股の間にあてる)に当てて、血液を冷却する。

③ 水を体表面にかけて送風(気化熱によって冷却) 霧吹きなどで、水を吹きかけてその気化熱で冷却する。繰り返し吹きかけつつ送風する。皮膚表面を冷却しないで、かつ、震えを起こさせないよう注意。そのため、できるだけ温水のほうがよいと考えられるが、温水でないといけないものではない。送風にはドライヤーで温風を用いるのもよいが、うちわなどで扇ぐことでも可。 

熱中症の予後
熱中症にかかった者が、暑い環境での運動を再開するには、相当の日数を置く必要があります。どんなに症状が軽かったとしても、1週間程度。症状が重くなるにつれ、日数は増えていきます。詳しくはお医者さんと相談の上、当人の調子を鑑みながら、再開を決めることになります。 その間は、暑い環境での運動や、激しい運動は厳禁となります。十分に回復するまでの休息の日数をおいたうえ、涼しいところでの軽めの運動から開始し、徐々に運動負荷を上げていくということになると思います。 前述しましたが、一度かかった者は、再度かかりやすいということが言われています。十分に注意をしつつ、運動を行わせなければなりません。

2009年6月16日火曜日

すっきりポール作業注意事項

5月25日、今年4回目の安全管理の学習会です。
今日は青空の下、すっきりポールの工事の安全確認です。
各自、安全帯を着用し、実際に電柱に登って確認しました。


①はしごの取扱い注意。車庫など狭い通路は破損に注意!
電線、電話線など上空の注意回転防止と傷防止のために
先端にタオルかVAコードを巻く










②平行でしっかりした地面を選ぶはしごの固定、角度、揺らぎ、
横の傾き、埋没、ズレの確認。

③3点支持の原則

④ヘルメットの着用、腰ベルト(命綱)の使用









⑤片手で上らない。荷物はショルダーで!

⑥強風時は使用を控える。
⑦はしごに引っ付くように上り下り常に地上より垂直からはしご
より階段は直角に踏む。平行に踏むとすべる恐れあり。
⑧高所での作業注意。命綱反動、反発作用に注意落下物の
注意。
■■■■■■■■■■■■参考資料 ■■■■■■■■■■■■
すっきりポールの安全に関するメーカーからの注意事項(抜粋)

●手袋などの防護具をして作業をしてください。
~守らないと、スッキリポール端面、切欠穴部などで手指を切る
おそれがあります。

●結束バンドを持たないでください。
~落下し、けがのおそれがあります。

●スッキリボックス固定後、スッキリボックスの向きを変えるなど、
~過剰な負荷 をかけないでください。金具が変形するおそれが
あります。
●配線作業中は扉を仮止めしてください。
~守らないと、手を挟むおそれがあります。~

●はしごを立て掛けないでください。
~転倒・落下及びはしごによるスッキリポール表面への傷のおそれ
があります。

●スッキリポールやスッキリボックス等に錆が発生した場合、必ず
早期に補修してください。(下記の錆の補修方法を参照)
~守らないと、腐食によるスッキリポール倒壊や錆部からの水の
浸入による感電や漏電のおそれがあります。

2009年2月4日水曜日

2月度安全管理集会

加害者となってしまう「業務上過失傷害」とは?

刑法 第二編 罪 第二十八章 過失傷害の罪

第二百九条   【 過失傷害 】
第一項 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
第二項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。  

第二百十条   【 過失致死 】 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。  

第二百十一条   【 業務上過失致死傷等 】 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

業務上過失傷害となる恐れがある事故寸前の実例

①はしごがきちんと固定されていなかった。
●はしごをキャリアに乗せたら、必ずその時に固定するよう習慣つける。走行中はしごが落ち、後続車が重大事故を起こす。はしごを乗せるときに電話がかかってきたり、お客様から声をかけられたら、ついつい忘れてしまう。
●走行中、異音がしたら、必ず車を止めて確認。

②突風ではしごが倒れた。
●はしごの下で子供が遊んでいないか?また、はしごが離れた隙に子供が遊ぶ危険性はないか?
● はしごは、必ずロープで固定。
● 強風時は使用をさける。

③工事の際にでる金属の破片を幼児が拾い、手を切ったり、飲む込むおそれあり。
●子供が近くにいないか?ニッパー、ハンマーなど勝手にさわり、手をはさむ事故。
●目を離した合間に子供が重大事故の恐れ!

業務上過失傷害とはいうけど業務上ではない過失傷害は、ただの「過失傷害」ではないか。業務上過失傷害の「業務上」とは何でしょうか?

■「業務上」とは何か


 業務上過失致死傷の業務とは、人がその社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う行為で、他人の生命、身体に危害を加える恐れのあるものをいいます。そして公私を問わず、また収入や利益をともなうかどうかを問わないとされています。
 従って、自動車の運転の場合、営業のための運転はもちろん、通勤や買物、食事、レジャーなど営業目的でない運転もすべて業務上とされます。無免許であっても反復継続して運転していれば業務上とされるのです。

労働災害を発生させると、労働安全衛生法の違反がなかったか労働基準監督署の調査が行われ、違反があれば刑事責任が追求されます。刑事責任では、労働安全衛生法違反のほか、刑法211条の業務上過失致死傷に問われることもあります。

 1.労働安全衛生法違反
  労働安全衛生法および関係諸規則には、事業者が労働災害を防止するために守らなければならない多くのことが規定されています。労働災害が発生するとこれらの規定に違反してないか追及されることになります。

 2.業務上過失致死傷
  業務上過失致死傷とは、業務上必要な注意を怠って人を傷つけ、または死亡させることをいいます。労働災害の場合、警察署は誰が必要な注意を怠ったかを調べ、業務上過失致死傷として問題にします。労働安全衛生違反の行為に伴って、死亡または傷害事故が生じると大抵の場合は、業務上過失致死傷の罪も問われ、両方の処罰を受ける事になります。

ニュースになった業務上過失傷害の実例

①フグ中毒で3人意識不明 店は営業禁止に<1/27 21:21>
 山形・鶴岡市の飲食店で26日夜、フグ料理を食べた7人が病院に搬送された食中毒で、意識不明となった客はその後、3人となった。警察は業務上過失傷害の疑いでこの店を家宅捜索する一方、山形県は、店を営業禁止とした。

②ベンツ試乗150キロで人身事故 ディーラー営業担当を書類送検
 ベンツを試乗していた男性が時速約150キロで人身事故を起こしたのは、同乗したディーラーの営業担当者が適切な助言をしなかったためとして、警視庁東京湾岸署は27日までに、業務上過失傷害の疑いで、東京都品川区内のメルセデスベンツ正規販店の男性(38)を書類送検した。調べによると、販売店の男性は6月15日、会社員がベンツを試乗する際に、アクセルを踏むとすぐスピードが出ることに注意するように、適切な助言をしなかった疑い。

③南日本造船本部と工場捜索 タラップ事故で大分県警
作業員2人が死亡、24人が負傷した南日本造船大在工場のタラップ落下事故で、大分県警は29日、業務上過失致死傷容疑で、いずれも大分市にある同社本部事務所と大在工場の2カ所を家宅捜索した。

ヒヤリハットなど意見交換。

雨の日は工事が危険な為、はっきり断る。大事が発生した場合は、お客様にも多大な迷惑がかかることを説明し断る。

2009年1月11日日曜日

1月度安全管理集会


事業者の安全衛生管理責任
(2009年1月5日九州石油ドーム新年の安全管理研修)

事業主や管理者は、なぜ職場の安全衛生管理をしなければならないのでしょうか。人道上や社会的責任上の災害防止義務は別の機会に譲るとして、ここでは法律上の義務について述べます。
結論からいえば、「安全衛生管理」は事業主や管理者に課せられた法律上の義務であり、怠ると刑事上、民事上の責任が問われます。
すなわち、事業者は労働安全衛生法に基づく災害防止責任としての刑事上の責任のほか、民事上でも災害防止責任を負っています。



労働安全衛生法上の事業者責任

労働安全衛生法では、事業者に対する労働災害防止措置義務が課せられており、これに違反した場合には、同法第119条、120条によって刑事罰を科せられる。
法第119条は、危害防止措置を講じなかった事業者、法定の資格を要する作業主任者を選任しなかったり、無資格で危険業務に従事させた事業者等を「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処し、第120条は、安全管理者、衛生管理者等を選任しない事業者、安全衛生委員会の設置をしない事業者等を「50万円以下の罰金」に処すと定めている。
処罰されるのは、違反の実行行為者、その者を直接管理監督する課長、工場長等の管理者のほか、法人も罰金刑を科せられる。(第122条、いわゆる両罰規定)
 なお、労働災害に関して業務上過失責任が同時に問われることがある。業務上過失致死傷罪に対しては、「5年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金」に処せられるが(刑法第211条、罰金等臨時措置法第3条)、処罰は重い方の範囲内で決められる。